西高東低の冬らしい日が続き、冷え込む朝もやってきました。
皆様、体調など崩さずお元気でいらしゃいますか?
診療をしていると、親知らずを抜く必要な患者さんが一定数いらっしゃります。
親知らずとは、智歯とも呼ばれ、前から数えて8番目に位置する第三大臼歯、大人の一番奥の臼歯です。永久歯は15歳前後で生えそろいますが、親知らずは10代後半~20代に生えるので、他の歯とは違い親に知られずに生えてくるのが名前の由来になっていると言われます。
親知らずは上顎、下顎それぞれ2本、合計4本ありますが、もともとない人、4本が揃っていない人がいます。生えてくる場所が不足していたり、生える方向が通常と異なっていたり、骨に埋まった状態だったり、傾いていたりできちんと生えてこないこともあります。
【親知らずによるトラブル】
虫歯
中途半端な状態で親知らずが生えている場合や、お口の奥に位置するためにブラッシングが難しいので、虫歯になりやすいです。また親知らずばかりでなく、隣あっている第二大臼歯までも虫歯にしてしまいやすいので注意が必要です。
歯肉の炎症
親知らずが斜めに生えたり、まっすぐ生えても途中までしか生えてこない場合は、ブラッシングが届き難く、不衛生になると親知らずの周りの歯肉に炎症をおこす「智歯周囲炎」がおこり、歯肉が腫れて痛みが生じます。
歯根の吸収
親知らずが手前の歯に食い込むように生えてくると、手前の歯の根が解けてしまい、ひどくすると親知らずだけでなく、手前の歯も抜歯が必要になります。
口臭
親知らず周辺は不潔になりやすく、また炎症によって膿がたまったりすると口臭の原因になります
【智歯周囲炎】
20歳前後の人に発生する頻度の高い疾患です。智歯周囲炎がまわりの軟組織や顎骨に広がると顔が腫れたり口をあけにくくなったりします。この場合は、化膿止めや痛み止めを服用していただき、うがい薬などの併用をして炎症を鎮めた後、被った歯肉を切除を行い、様子を見る場合もあります。しかし親知らずの生える方向が悪かったり、炎症を繰り返す場合は、抜歯をするのが適当と考えられます。
【抜いた方がよい親知らず】
- ・親知らず、また手前の歯もむしばになってしまった
- ・横向きに埋まっていて前方の歯に障害を及ぼしている
- ・いつも食べ物がつまる、歯茎の腫れ、痛みを繰り返している
- ・骨の中に完全に埋まっているが、エックス線で袋のような影(嚢胞)がみられる
【抜かなくてもよい親知らず】
- ・親知らずが上下揃って、かみ合っている
- ・顎の骨の中に完全に埋まっていて問題がない
- ・ブリッジや入れ歯を支える歯として親知らずが役立つ
- ・親知らずを移植する
- ・矯正治療で親知らずを正しい位置に動かすことができる
たかが親知らずされど親知らず。症状のある方はもちろん、ない方も親知らずがトラブルの原因にならないか一度調べておく事をお勧めします。
インフルエンザの季節柄、皆様どうぞお体ご自愛ください。
担当は歯科医師、小嶋でした。