本日の担当は歯科医の阿部です。
今回は音と注射について書きたいと思います。
メンテナンス(クリーニング)はお口の中がさっぱりして好きという方は大勢いらっしゃいますが、
このブログを定期的にお読みいただいている方でさえ、歯科治療が好きだという方は少ないと思います。
歯科治療が嫌な理由の代表的なものとしてよく挙げられるのが、キーンという音と、麻酔の注射です。
少しでも患者さんの負担を減らすため浜岡歯科ではできるだけ対策を行っています。
まずはキーンという音、この正体は皆さんご存知のとおり歯を削る器具、タービンが発する音です。
先端の内部に小さなプロペラのようなもの(タービン)が入っていて空気の圧力で回転します。
メーカーによりますが大体1分間に30万~50万回転するためあのような音が出てしまい、構造上仕方
ない部分もあります。
では麻酔の注射はどうでしょう?
20年くらい前までは、いきなりブスッと注射ということも多かったと思いますが最近は変化してきています。
麻酔の主な用途は虫歯の治療、歯茎の治療、抜歯になりますが、虫歯のパターンでご説明しましょう。
まずお口の中の構造ですが、歯は歯茎の中の顎の骨に植わっています。表側から歯茎、その下に骨膜があり、
骨、歯と骨の間には歯根膜と言う繊維性のクッションのようなもの、そして歯です。歯の神経、血管は歯の根の
先の小さい穴から出入りしています。
麻酔は麻酔液がこの経路を浸潤して歯の神経に作用することにより効果を発揮します。
そこで問題となるのが皆さん嫌いな注射の痛みですが、表面麻酔という方法で解決できます。
これは注射の前にあらかじめ濃度の濃い麻酔液を綿球につけて、治療する歯の歯茎の上に置き1~2分ほど待ちます。
そうすると歯茎の表面から1~2ミリ程度まで麻酔が効いている状態になり、その部位に0.5~1ミリ程度針を刺し
ゆっくり麻酔液を注入することにより痛みを軽減する方法です。
注射の針も実は先端が斜めにカットしてあり、効率よく効かせるために開口している面を歯の方に向けて注射しています。
その後2分程度待つとある程度の範囲と深度で麻酔が効いているため必要があれば麻酔液を追加します。
一般的に上顎は骨がスポンジ状のスカスカの構造のため麻酔が効きやすく、下顎は緻密な構造なため効きにくいです。
また前歯は骨が薄いので効きやすく、奥歯は骨が厚いので効きにくいケースが多いです。
ですから下顎の奥歯は最も麻酔が効きにくくなります。
どうしても麻酔が効きにくい時は当院では歯根膜注射を行います。これは上記の歯と骨の間にあるクッション部分に
注射する方法で、歯の根の先により近いところからの注射のため効率よく麻酔を効かせることができます。
以上のような対策により患者さんに少しでも快適に治療を受けていただけるよう努力をしております。
最後までお読みいただきありがとうございました。